『選択』

 

「おかーさん。アイス食べていい?」

「いいよ。好きなの取りな」

 無事了承を得たマーロンは下段に位置する冷凍庫から、一つのアイスを取り出した。

 居間へと戻り、いそいそと袋から取り出す。

 鮮やかな水色が魅力的のそれは、二つの棒で形成されており、丁度半分を割るとそれぞれ一人分となる。

 少し苦労しながらようやく半分を割り、右の方をはくっと口に含む。

 途端に広がる心地よい冷たさと甘さ。マーロンはそのままシャクシャクとかみ締める。

 ふと、外から音がした。

 何だろうと入り口を振り返ると、いつの間にか17号がそこに立っていた。

「叔父さん!」

 ひょいと立ち上がり、両手にアイスを持ってとてとてと駆け寄る。

「いらっしゃーい。

 あ、叔父さんもアイス食べる?」

 これ、と先ほどの片割れを持ち上げる。

「ん? ああ。いる」

「じゃあ、はい」

 差し出すマーロン。だが17号は首を横に振った。

「そっちじゃない」

「へ?」

「俺はそっちがいい」

 指差すその先にあるのは、さきほどまでマーロンが食べていた方。

「? でも、もう半分しかないよ」

「少しでいいんだ。だからそっちでいい」

「んー。じゃあ、はい」

 あまり深く考えず、マーロンは右の方を差し出した。

 受け取り、そのまま口にしようとして、何かを視界が捕らえる。

 一体いつそこにいたのか、部屋の入り口には18号が立っていた。

「・・・・・・・・」

「あんたねぇ・・・」

 はぁ、とわざとらしくため息をつきつつ、マーロンに向かう。

「マーロン。もう半分食べたんだろう。

 そっちも全部食べるとお腹痛くなっちゃうよ」

「じゃあ、おかーさん半分食べて」

 いいよ、と18号は受け取り、一口口にする。そしてそのままちらりと17号を見据えてにんまりと微笑む。

「こっちもいるかい?」

 途端に17号は顔を歪ませ、「いらん」とそっぽを向いた。

「おや? マーロンのならいいんだ」

「しつこい」

「? 叔父さんどしたの?」

「叔父さんはね、マーロンが大好きなんだって」

「本当? 嬉しい! あたしも大好きー」

「良かったねえ」

 最後はどちらに言ったのか、17号にとっては考えるだけでも屈辱だった。






あとがき
 ネタ発生源。日記絵より。
 ネタは唐突に訪れるものです。

 
 何か・・・もう、色々とすみませんでした。



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